
発達障害(神経発達症)とは?
―特徴・原因・大人の発達障害までわかりやすく解説―
最近、「発達障害かもしれない」「大人の発達障害ではないか」といったご相談が増えています。
発達障害(神経発達症)とは、
生まれつきの脳の働き方の特性によって、社会生活の中で困りごとが生じる状態の総称です。
ここでは、発達障害について、できるだけわかりやすく解説します。
発達障害は「遅れ」ではなく「偏り」
発達障害は、基本的には発達の“偏り”です。
偏りとは、
・あることはとても得意なのに
・別のことは極端に苦手
というように、できることとできないことの差が大きい状態を指します。
たとえば、
・興味のある分野では驚くほど集中できるのに、日常的な作業は続かない
・難しい専門知識は理解できるのに、人の気持ちを読むことが苦手
・会話は得意なのに、読み書きだけが極端に苦手
といったような“落差”が目立つことがあります。
もちろん、知的発達の遅れを伴う場合もありますが、
すべてが「遅れている」わけではありません。
むしろ、能力のアンバランスさが特徴といえます。
では、どこからが「障害」なのでしょうか?
発達特性があっても、それだけで病気になるわけではありません。
大切なのは、
その特性によって社会の中で生きづらさが生じているかどうかです。
・職場で繰り返しトラブルになる
・学校生活が極端にしんどい
・人間関係で強い孤立感を感じる
・努力しても生活が回らない
こうした困りごとが続いている場合、医療的な支援が必要になることがあります。
一方で、特性を持っていても、
周囲が理解し、環境が合っていて、社会の中で適応できているのであれば、
あえて発達障害という病名をつける必要はないと私は考えています。
診断はレッテルを貼るためのものではありません。
困りごとを整理し、支援につなげるためのものです。
発達障害の主なタイプ
発達障害にはいくつかの代表的なタイプがあります。
ADHD(注意欠如・多動症)
・集中が続きにくい
・忘れ物が多い
・段取りが苦手
・衝動的に行動してしまう
子どもの頃は多動が目立つことがありますが、大人では「仕事のミスが多い」「時間管理が苦手」といった形で現れることがあります。
ASD(自閉スペクトラム症)
・対人関係の独特さ
・空気を読むことの難しさ
・強いこだわり
・興味の偏り
「スペクトラム」と呼ばれるのは、症状の現れ方が連続的で幅広いからです。
学習障害(限局性学習症)
・読むことだけが極端に苦手
・書字に強い困難がある
・計算だけがうまくいかない
知的能力とは別に、特定の分野に限った困難がみられます。
原因について
発達障害は、育て方やしつけが原因で起こるものではありません。
遺伝的要因や、脳の発達過程に関わるさまざまな要因が複雑に関係していると考えられています。
ただし、家庭環境の不安定さや強いストレス体験があると、発達障害に似た症状が現れることもあります。
そのため診察では、
・生まれつきの特性なのか
・環境の影響が大きいのか
を丁寧に見極めます。
発達障害の頻度はどれくらい?
調査方法によって数字は変わりますが、決して珍しいものではありません。
2022年の文部科学省の調査では、通常学級の小中学生のうち、学習面や行動面で著しい困難があり、特別な支援が必要と考えられる児童生徒は8.8%と報告されています。
ただしこれは医師による診断の割合ではなく、「支援が必要と考えられる子ども」の推定割合です。ただし、診断に至っていない方や、特性はあっても診断基準を満たさない方まで含めると、実際にはそれ以上の割合になる可能性もあるのではないかと言われています。
大人の発達障害が増えている理由
子どもの頃は、
・家族のサポートがあった
・学校で大きな問題にならなかった
・周囲が理解してくれていた
などの理由で目立たなかった特性が、社会に出てから困りごととして表面化することがあります。
現代社会では、
・同時進行の業務
・曖昧な指示への対応
・空気を読む力
・高いコミュニケーション能力
が求められる場面が多く、特性とのミスマッチが目立ちやすくなっています。
「頑張りが足りない」と思い続けてきた方が、大人になって初めて自分の特性に気づくこともあります。職場での困難やうつ症状をきっかけに、発達障害に気づく方も少なくありません。
発達障害は治るのか?
発達障害は、生まれつきの脳の特性です。
特性そのものをなくす治療は現在の医学では難しいとされています。
しかし、困りごとへの対応は可能です。
・環境を調整する
・働き方を見直す
・得意な分野を活かす
・支援制度を利用する
・必要に応じて薬物療法を行う
たとえば、忘れ物が多い場合、
「気をつけなさい」と繰り返すよりも
予備を持つ、仕組みで管理する、といった工夫のほうが現実的です。
大切なのは、
特性を否定することではなく、特性に合った環境を整えることです。
発達障害は「脳の個性」
発達障害は、社会との相性が悪いと「障害」になりますが、環境が合えば強みとして発揮されることもあります。
・集中力の高さ
・独自の発想力
・強い探究心
・誠実さや正確さ
などは、発達特性の一部でもあります。
最後に
発達障害とは、「できない人」という意味ではありません。
「能力に偏りがある人」という理解のほうが実態に近いでしょう。
そして、その偏りが社会の中で大きな生きづらさにつながっているとき、はじめて診断や医療の出番があります。
当院では、診断基準に形式的(星占いのように)に当てはめるのではなく、
その方がどのような困りごとを抱えているのかを大切にしています。
特性があっても困っていない方に、無理に診断名をつけることはありません。
逆に、強い生きづらさがある方には、適切な支援を一緒に考えていきます。
お一人で悩まず、ご相談ください。
※当院は成人の方(18歳以上)を対象とした診療を行っております。小児の診療は行っておりません。
執筆・監修
ありのままこころのクリニック
院長 関 一誠
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