うつ病とは|症状・原因・診断・治療について|ありのままこころのクリニック|那珂川市の心療内科・精神科

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うつ病とは|症状・原因・診断・治療について

うつ病とは|症状・原因・診断・治療について|ありのままこころのクリニック|那珂川市の心療内科・精神科

うつ病とは

うつ病は、気分の落ち込みが長く続き、頭がうまく働かなかったり、体が思うように動かなかったりする病気です。その結果、日常生活がこれまで通りにできなくなってしまいます。うつ病は決してめずらしい病気ではありません。世界では約10人に1人、日本では約20人に1人が、生涯のうちに一度は経験するといわれています。

 

うつ病の原因

うつ病がなぜ起きるのかは、まだ完全には解明されていません。脳の中には、セロトニンやノルアドレナリンなど、気分に関わる神経伝達物質があります。これらのバランスが乱れることが、うつ病に関係していると考えられています。ただし、うつ病はそれだけで説明できるほど単純な病気ではありません。現在では、脳の働き、ストレスホルモンの変化、神経細胞どうしのつながり、炎症、睡眠の乱れなど、さまざまな要因が関係していると考えられ、さまざまな観点から研究が進められています。つまり、うつ病はひとつの原因で起きるのではなく、いくつもの要因が重なって起きる複雑な病気なのです。こうした研究が進むほど、「心が弱いからなる」「甘えや怠けではないか」といった誤解や偏見がいかに正しくないかがわかってきています。うつ病は性格や気持ちの問題ではなく、れっきとした脳の病気なのです。

 

うつ病の症状

うつ病では、「こころ」「からだ」の両方に症状があらわれます。

① 気分の落ち込み

 一日の大半で気持ちが沈み、悲しさやむなしさが続きます。

② 興味や楽しさの低下

 これまで好きだったことが楽しめなくなります。

③ 食欲や体重の変化

 食欲が落ちる、または増えることがあり、体重が変化します。

④ 睡眠の変化

 寝つきが悪い、途中で目が覚める、早朝に目が覚める、逆に寝すぎることもあります。

⑤ 動きや話し方の変化

 動きがゆっくりになる、反応が遅くなる、または落ち着かなくなることがあります。

⑥ 強い疲労感・気力の低下

 十分休んでも疲れがとれず、日常のことが大きな負担になります。

⑦ 自己否定や強い罪悪感

 自分を必要以上に責めてしまいます。

⑧ 集中力の低下・決められない

 物事が頭に入りにくくなり、決断が難しくなります。

⑨ 死について考えてしまう

 「消えてしまいたい」と感じることがあります。

 そのような思いがあるときは、必ず相談してください。

 

そのほかの症状

・頭痛、めまい、動悸、息苦しさ

・胃の不調や腹痛、便通の変化

・肩こりや腰痛などの慢性的な痛み

うつ病は「こころ」だけでなく、体にもさまざまな形であらわれる病気です。

 

うつ病の診断

うつ病と診断する際には、いくつか大切な確認があります。まず、気分の落ち込みの背景に、ほかの病気が隠れていないかを慎重に見極めます。

特に、双極症(気分が落ち込む時期と高ぶる時期をくり返す病気)は、はじめはうつ病とよく似た症状としてあらわれることがあります。双極症とうつ病では治療の進め方が異なるため、正しく区別することがとても重要です。

また、体の病気が原因で気分が落ち込んでいる場合もあります。たとえば、パーキンソン病やレビー小体型認知症、脳卒中、頭部外傷、甲状腺の病気などです。そのような場合には、気分の治療だけでなく、原因となる体の病気への治療もあわせて行う必要があります。さらに、お薬やアルコールの影響がないかも確認します。

そのうえで、国際的な診断基準(DSM-5-TR)にそって、症状の内容と続いている期間を確認します。DSM-5では、うつ病の9つの症状のうち、気分の落ち込み、または興味・喜びの低下のいずれかを含む5つ以上の症状が、2週間以上ほぼ毎日続き、生活や仕事に支障が出ている場合に、うつ病と診断されます。

診察では、これまでの経過を丁寧にうかがい、必要に応じて身体診察や血液検査、頭部の画像検査(CT・MRIなど)を行います。画像検査が必要な場合は、近隣の病院をご紹介します。

検査については、無理にすすめることはなく、必要性をご説明したうえで、ご本人のご希望やお気持ちも確認しながら進めていきますので、ご安心ください。

 

うつ病の治療

うつ病は、気の持ちようや気合い、根性でよくなるものではありません。うつ病は、脳が疲れ、働きのバランスを崩している状態です。まずは「自分の弱さではない」と知ることが、回復への大切な一歩になります。うつ病では、次のような“悪循環”が起きていると考えられています。ストレスが重なると、脳は少しずつ疲れていきます。すると、物事をこれまでよりも悪い方向にとらえやすくなります。それは性格や考え方の癖だけの問題ではありません。病気の影響で、そう感じたり、そう考えてしまったりするのです。そして、悪い方向に考えることでさらにストレスが増え、眠りにくくなり、脳はますます疲れてしまいます。この悪循環が続いている状態が、うつ病です。治療は、この悪循環をひとつずつ断ち切っていくことです。まず大切なのは、脳をしっかり休ませること、そして睡眠を整えること。必要に応じて、お薬で脳の働きをサポートします。「休む」ことは、怠けることでも逃げることでもありません。脳が力を取り戻すために必要な、大切な治療のひとつです。そのために、周囲に相談してサポートを受けることや、強いストレスからいったん距離をとることも大切です。物事を必要以上に悪く考えてしまうクセをやわらげる方法(認知行動療法など)も、回復の段階に応じて取り入れていきます。適切な治療を続けることで、脳は少しずつ本来の力を取り戻していきます。ただし、認知行動療法のように、ある程度のエネルギーや集中力を必要とする治療は、少し余裕が出てきてから始めるほうが、より効果が期待できます。

 

抗うつ薬

うつ病の治療の中心となるお薬が、抗うつ薬です。

脳の中では、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が、気分や意欲に関わっています。抗うつ薬は、これらの働きを調整し、乱れたバランスを整えることで、脳が本来の力を取り戻すのを助けます。

抗うつ薬にはいくつかの種類があります。現在よく使われているのは、

・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

・SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

・NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

・S-RIM(セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節薬)

      といった比較的新しいタイプの抗うつ薬です。これらは従来の三環系抗うつ薬などに比べて安全性に配慮されており、使いやすい薬とされています。ただし、どの薬にも副作用の可能性はあり、体質や体調によって感じ方は異なります。

      一方で、症状の特徴や経過によっては、以前から使用されている三環系抗うつ薬などが選択される場合もあります。副作用への注意は必要ですが、一定の効果が期待できるお薬です。

      日本の治療ガイドラインでは、これらの抗うつ薬の間で明確な効果の優劣は示されていません。そのため、

      ・うつ病の症状のタイプ

      ・副作用の出やすさ

      ・持病や併用薬との相互作用

      ・過去に使用した薬の効果

      などを総合的に考えて、その方に合った薬を選びます。抗うつ薬は「どれが一番強いか」ではなく、「その方に合っているか」が大切になります。

       抗うつ薬にはさまざまな種類がありますが、基本的には1種類のお薬を少量から開始し、副作用に注意しながら徐々に十分量まで調整していきます。効果があらわれるまでには通常2〜4週間ほどかかるため、一定の期間しっかり様子をみます。そのうえで、十分な量と期間を使っても効果がほとんどみられない場合には、別の抗うつ薬へ変更(スイッチ)を検討します。一方で、「少しは良くなっているけれど、改善が十分ではない」という場合には、増強療法(augmentation)を行うことがあります。これは、抗うつ薬に加えて、

      ・抗精神病薬

      ・気分安定薬

      などを少量併用し、効果を高める方法です。さらに、薬物療法で十分な改善が得られない場合や、症状が重い場合には、以下のような治療が検討されることもあります。

      ・rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)
      磁場を用いて脳の特定の部位を刺激し、神経活動を調整する治療法です。侵襲性が低く、外来で行われます。

      ・mECT(修正型電気けいれん療法)
      麻酔下で短時間の電気刺激を行い、脳の働きをリセットする治療法です。重症例や緊急性の高い場合に有効とされています。

      これらの治療法は、症状の程度や経過、ご本人の希望を踏まえて慎重に検討されます。

       

      うつ病は、治療を受けずにいると症状が長引いたり、悪化したりすることがあります。そのため、早めに適切な治療を始めることが大切です。抗うつ薬は、症状を和らげ、回復を後押しする治療のひとつです。ただし、効果が安定するまでには時間がかかることが多く、治療は数か月といった期間で考える必要があります。また、うつ病は再発しやすい病気でもあります。症状がよくなったあとも、再発を防ぐために一定期間は治療を続けることが重要です。日本の治療ガイドラインでも、症状が落ち着いた(寛解した)あとも少なくとも6か月程度は抗うつ薬を継続することが勧められています。「もう良くなった」と感じても、自己判断で急に薬を中止すると、再発や症状のぶり返しにつながることがあります。減量や中止を考えるときは、必ず医師と相談しながら、少しずつ調整していきます。

      回復は直線的に進むとは限らず、良い日とそうでない日を行き来することもあります。一喜一憂せず、焦らずに治療を続けていくことが大切です。

       

      参考文献・情報源

      本ページは、日本うつ病学会
      「うつ病診療ガイドライン2025」 を参考に作成しています。

      当院では、日本うつ病学会の診療ガイドラインに沿った治療を心がけています。

       

      執筆・監修
      ありのままこころのクリニック
      院長 関 一誠

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      (以下、当院のご案内)

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